「アーティスト・ステートメント」





 油彩画の技法を使い様々な平面作品を制作して来ました。一見すると、出来上がった作品が異なって見える為、他の作家が制作した作品にも見える事があります。私の作風には一貫性がないように思われてしまいがちですが、平面性と立体性の融合を目指した新しい表現の模索と言う点で、強い信念を持って制作しています。
 私の作品はあくまで油彩画であって、その技法での表現の研究も古典技法を駆使した絵画組成によって、説得力のある表現にも繋がるように制作しています。留学経験がある事で自分にしか出来ない日本人的な作品を模索して、日本画が持っている平面性と西洋画の持っている立体性を一つの画面に表現出来ないか新しい表現として追求しています。
 それは、私の世代が受けてきた美術教育等も関係している部分は大きいように思われます。自分が今まで見てきた美術の環境の為なのか、絵の勉強を始めたときは何も疑問にも思わず、西洋の奥行きのある油彩画に憧れを抱きつつ勉強をしてきました。日本古来の日本画もアニメも自然と教科書やテレビから見て日常を過ごしていました。そんな環境からでしか表現できないものを追求しています。
 私の興味があるのは自分が今まで見てきた事のあるビジュアルであって、大多数が何処かで見たことのあるような表面的なとても軽い感じのイメージでもあります。そんなイメージを使って技術的に空間があるような平面的な絵画空間を表現しています。それは、今の曖昧な現代社会の影響によるところが大きいように思われます。